2018年5月16日に発売された「ポケモンをつくった男 田尻智 (学習まんがスペシャル 小学館版) 」を読みました!
子供向けの漫画書籍ですので、大人なら1時間もあれば読めるかな?
僕が他の書籍でエピソードを知っていたからかもしれませんが、とても読みやすい作品でした。
てっきり僕は過去に発売された対談文庫本「田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ) 」の漫画バージョンだと思っていたのですが、そうでもなかったです。
今まで発売されたゲームフリーク、田尻智さんの本をまとめて漫画にしたような感じですね。
僕は他に「ポケモン・ストーリー」という分厚い本も持っているのですが、これらのストーリーすべてを漫画化すると週刊少年ジャンプで3年やっても終わりそうにないので、本当にコンパクトにまとめていると思います。
「ポケモン・ストーリー」「田尻 智 ポケモンを創った男 (MF文庫ダ・ヴィンチ) 」などは中古本なら出回っていると思うので、興味がある人は探してみてくださいね。
ちなみに「ゲームフリーク―遊びの世界標準を塗り替えるクリエイティブ集団」は中古市場にもあまり出回らない激レア品です。僕も探し回っています…。
漫画の構成は田尻智さんの幼少期~初代ポケモン完成まで
漫画の物語は田尻智さんの子供時代からポケモンを完成させるまでです。
子供時代のエピソードはこれまで発売された本の内容をそのまま漫画化した感じなので、詳しい人なら「そんなエピソードもあったなぁ」と懐かしめます。
個人的には田尻さんがゲームコンテストに応募したという「闇夜のカラス」「スプリング・ストレンジャー」などのビジュアルが見れたのは嬉しい。(イメージ図みたいなものですが)
最初の9ページはオールカラーなので、まさか全編オールカラー!?とびっくりしました。
幼少期の田尻さんはかなり“サトシ”っぽいです。
杉森健さん、増田順一さんとの出会い
杉森健さんとの出会いは田尻さんが販売していたゲーム同人誌「ゲームフリーク」の読者で、杉森さんが田尻さんへイラストを送ったところから始まる…というのは有名ですね。
しかし、杉森さんがポケモン開発中もフリーの立場で「ゲームフリークの社員」としてやっていく決意をする名エピソードはあまり知られていないのではないでしょうか?
なぜ一番の古株である杉森さんが社員ではなく、フリーでいたのか?
なぜゲームフリークの社員になる決意したのか?
この漫画にもバッチリ載っています。詳しく知りたい人は本を買ってね!
“僕にやらせてもらえますか?”増田さんがカッコよすぎる
そして、この漫画において主役の田尻さんに負けないほどカッコイイのが
ご存知!増田順一さんです。
もともと音楽クリエイターとしてゲームフリークの手伝いをしていたのですが、ある事件をキッカケに覚醒します。
初代ポケモンを作るにあたって、増田さんの功績というのは計り知れないものがあります。
増田「ぼくにやらせてもらえますか?」
増田「だから絶対ポケモンを完成させたい!」
引用:114P、116P
名言ラッシュに思わず田尻さんも「増田!!」と叫んでおります。
これらのシーンだけで買ってよかったと思えるレベルですね。日頃から「増田ァ!」って叫んでる人はリスペクトを込めて「増田!!」にしましょうね。
ゲームフリークの人気ポケモン社内投票では没ポケモンの姿も
さて、気になったのは漫画の後編に登場する「ゲームフリーク人気ポケモン社内投票」のシーンです。
このシーンには実際の投票結果や投票シーンが模写(あるいは本物?)されており、いまだに登場していない「没ポケモン」を見ることができます。
没ポケモン:「ディアー」「クロッキー」「ジャッグ」など。
他にもオニスズメの名前が「オムオム」だったり、投票当時のまま漫画化しているようですね。
杉森さんのデザインは「怪物」というイメージが強く、「親しみやすいポケモンを加えたい」という田尻さんの意向で3人のデザイナーを加えたそうです。
- ピカチュウをデザインした「にしだあつこ」さん
- イーブイをデザインした「藤原基史」さん
- プログラマーでもある「森本茂樹」さん
この3人だと思われます。
今思えば英断でしたね(笑)
ポケモンの完成度を高めた石原恒和さんのダメ出し
僕が強烈に印象に残ったのはストーリー終盤のシーン。
初代ポケモンのサンプルが完成したのですが、当時クリーチャーズの社長だった石原恒和さんからダメ出しを受けます。
石原「このゲームで君が何を言いたいのか全然わからない」
引用:130P
衝撃的な発言です。
だって、この時点でポケモンは開発が始まって6年も経っているんです。
様々な事件を乗り越え、資金集めにライティングや他ゲーム制作をする中で一生懸命作り上げてきたポケモンというゲーム。
やっと完成したサンプルにダメ出しをした石原社長も、相当な覚悟がないとできないことだと思います。
一番近くでゲームフリークのことを見ていたわけですからね。
このダメ出しを受けて、田尻さんはストーリーを再構築したそうです。
どのように再構築されたかは分かりませんが「ジム」「リーグ」「ロケット団」などは石原さんのダメ出しがなければ登場しなかったかもしれませんね。
今も貫かれるゲームフリークの信念
田尻「ゲームフリークにとって、ゲームをつくるということは、「おもしろいゲームをつくる」ってことなんだ。決して「映像で何かを表現したい」わけではない。」
引用:144P
ニンテンドースイッチで発売されるというポケモンも、グラフィックに関して大幅な進化はしないと思っています。
3DS→スイッチになることで綺麗にはなるでしょうが、一部の人たちが期待するような「オープンワールドで超きれいな世界を!」なんてことはないと。
ゲームフリークの信念というのは田尻さんのこの発言そのものだと思います。
ゲームフリークが「おもしろいゲームをつくる」ことを第一に考えていれば、これからもポケモンは「おもしろいゲーム」であり続けるでしょう。
今から最新作が楽しみです。
おまけ|宮本茂さんのインタビュー
最後に宮本茂さんのインタビューが掲載されています。
「プロデューサー」という肩書で初代ポケモンに参加していた宮本さんですが、ご本人は「ほとんどアドバイスしていない」と語っていますね。
ただ、宮本さんのファインプレーで初代ポケモンは大幅なパワーアップをしています。
この“宮本茂インタビュー「なぜおもしろいのか?を考え抜いた田尻智」”
はこれまでの書籍にも掲載されていないものなので、ファンなら必見です。
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